泌尿器のがん
泌尿器に起こるがんには、膀胱がん、腎細胞がん、腎盂尿管がんがあり、さらに男性の前立腺がん・精巣がんがあります。泌尿器に起こるがんでも、早期発見によってお身体への負担やお仕事への影響がより少ない治療が可能になります。違和感や気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
なお、男性に多い前立腺がんについては、別にページを設けてくわしくご説明しています。 前立腺がんについてはこちらをご覧ください。
膀胱がん
早期にも自覚症状が現れやすいことが最大の特徴です。それは肉眼的血尿で、目で見てはっきり血尿とわかります。痛みをともなわないことも多いので、血尿に気付いたらできるだけ早く受診してください。
また、頻尿や残尿、尿が出にくいなどの幅広い排尿障害が現れることもあります。膀胱炎と似た症状が多いため、排尿に関する違和感があったら必ず泌尿器科を受診するようにしましょう。 膀胱がんが進行すると尿管の出口を塞ぐことがあり、それによって行き場を失った尿が腎臓にたまって腎臓が拡張する水腎症を起こすことがあります。水腎症になると背中の痛みなどが起こりますが、これは尿管結石と間違われやすいため、やはり尿器科専門医の受診が不可欠です。
腎細胞がん(腎がん)
腎臓は血液をろ過して尿を作っている臓器です。腎細胞がんは、尿を作る過程で働く尿細管の細胞ががん化したものです。危険因子には高血圧や肥満、喫煙などがあり、腎不全や特定の遺伝子異常も発症に関わっていると考えられています。発症の男女差は約7対3と男性の発症が倍以上となっています。発症率の高い年齢は、60歳以上とされています。
血尿などの精査で腎細胞がんがみつかることもありますが、検診や他の病気などで受けた超音波検査やCT検査で早期の腎細胞がんが偶然発見されるケースがほとんどです。
腎細胞がん(腎がん)の症状
早期には自覚症状に乏しく、ある程度進行しても無症状のことがほとんどですが、進行がんの場合、肉眼的血尿や腹部のしこりなどの症状が現れることもあります。そのほかに発熱、食欲不振、体重減少、貧血、腎臓の機能不全、高血圧、多血症(赤血球の異常な増加)、高カルシウム血症(血中のカルシウム濃度が異常に高まる)などの症状があります。また、骨や肺といった他の臓器のがんが発見されて、その後の追加精査で腎細胞がんが見つかることがあります。
腎盂尿管がん
腎盂は腎臓の内部にある組織で、腎臓で作られた尿を集めて尿管に送り出しています。尿はその後、尿管を通って膀胱に送られます。腎盂尿管がんは、腎盂や尿管内壁の尿路上皮細胞ががん化したものです。腎盂と尿管のどちらかにがんが発生することもありますし、両方に発生することもあります。また尿路上皮細胞は膀胱の内壁もおおっているため、膀胱がんが同時発生したり、腎盂尿管がんの治療後に膀胱がんが発生することもあります。
膀胱がん同様、喫煙が危険因子であることがわかっていますが、発生の原因はまだはっきりわかっていません。男性は女性の3倍発症しやすく、60歳以上の発症率が高いことも膀胱がんと共通しています。 早期の腎盂尿管がん自体を検査でみつけることはまれですが、他の病気などで受けた超音波検査やCT検査で早期の腎盂尿管がんが発見されるケースがあり、こうした点は腎細胞がんと同様です。
腎盂尿管がんの症状
膀胱がんと同様に比較的早期から肉眼的血尿といった自覚症状が現れやすい特徴を持っています。血の塊のようなものが出てくることもあります。腎盂尿管がんが進行すると、血の塊やがんが尿管を塞いで腎盂が拡張する水腎症が起こることがあります。水腎症になると背中の痛みなどの症状が現れます。水腎症の症状で受診して、腎盂尿管がんが発見されるケースもあります。
精巣がん
精巣は陰嚢の左右に1つずつあって、精子を造り、男性ホルモンを分泌する役割を持っている男性の生殖器です。精巣がんのほとんどは精子を造る精母細胞から発生するとされており、若年層の発症が多いという特徴を持っています。発症のピークは、5歳以下の幼少期、20代後半から30代の青年期、60歳前後の壮年期にあります。10万人に1人程度の頻度で発症するとされており、予後が比較的良好ながんです。
精巣がんを発症しやすいリスク要因として、乳幼児期の停留精巣などがありますが、精巣がんになる原因はまだはっきりとはわかっていません。
精巣がんの症状
片側の精巣が腫れて急激に大きくなる、硬いしこりを触れる、違和感があるなどの症状が現れることがあります。痛みをともなうことがほとんどないため、進行して転移を起こすまで気付かないこともよくあります。ただし精巣がんは転移を起こしている段階でも根治できる可能性が高いため、何らかの症状があったら早めにご相談ください。